最低賃金 過去最大63円引き上げを目安に~厚労省審議会
最低賃金について議論してきた厚生労働省の審議会が、全国平均の時給で63円引き上げるとする今年度の目安を示しました。
額としては過去最大。この目安どおり引き上げられれば全国平均は1118円。すべての都道府県の最低賃金が1000円を超えます。ちなみに、兵庫県の示された目安は63円。今後の議論次第ですが、目安どおりだと1115円となります。 物価上昇に歯止めがかからない現状の中で最低賃金の引き上げは、生活においては賃金の底上げにつながることが期待されます。
一方で、余力が小さい企業にとっては、最低賃金の上昇はすでに重い人件費負担のさらなる増加につながります。
近年、大幅な最賃引き上げが続き、実際の時給が最低賃金に追い付かれるという「最賃近傍」の労働者が増えていることや、中小企業への影響を指摘する記事もあります。
「従業員30人未満の企業に対する厚生労働省の調査によると、全国平均で51円の引き上げとなった24年度改定により、賃金が最低賃金の水準を下回ってしまう労働者の割合は23.2%に達した。21年度は16.2%だったが、3年で7ポイント上昇した。中小零細企業では最低賃金の改定ペースに賃上げが追い付かず、労働者の4人に1人が最低賃金に近い水準で働いている。使用者側は「賃上げできる企業とできない企業で二極化が起きている」と指摘する。」(時事通信8月5日配信記事)
昨年、中小企業家同友会は「最低賃金の大幅な引き上げを実行するため、予算や税制をはじめ、あらゆる手段でバックアップをすることを期待します」(「中小企業家しんぶん」 2024年 11月 15日号)とのべています。
社長さんにお話をお聞きしても「給料は上げてあげたい」という思いは共通しています。会社の“基礎体力”の大小にかかわらず賃上げにつながるよう、「あらゆる手段でバックアップ」して三方よしを期待したいところです。