令和6年度「過労死等の労災補償状況」
厚生労働省が、令和6年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ公表しています。
過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や労災保険給付の支給決定件数など平成14年以降取りまとめているものです。
報告書によると、請求件数および支給決定件数がともに過去最多を更新。特に精神障害の労災認定件数が初めて1,000件を超えるという状況となりました。
- 過労死等に関する請求件数 4,810件 (前年度比212件の増加)
- 決定件数 4,312件(前年度比1,033件の増加)
- 支給決定件数 1,304件 (前年度比196件の増加)
うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 159件(前年度比 21件の増加)
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況をみると、支給決定件数は前年度と比べ25件の増加。そのうち死亡件数は前年度比9件増の67件。業種別では「運輸業、郵便業」「宿泊業、飲食サービス業」「製造業」が多くなっています。
精神障害に関する事案の労災補償状況では、支給決定件数は1,055件で前年度比172件の増加。そのうち未遂を含む自殺の件数は前年度と比べ9件増え、88件となっています。
業種別では「専門的・技術的職業従事者」「サービス職業従事者」「事務従事者」が多くなっていました。
出来事別の傾向として「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」などが多くなっています。
気になるのは19歳以下の業務を起因として認定された精神障害で自殺者が出ているということです。
厚生労働省の調査結果からわかることは、過労死等防止対策のよりいっそうの強化が必要だということではないでしょうか。ハラスメント対策の徹底や適切な労働時間管理などの対応は、企業にとって急務の課題です。労働者の心身の健康を守り、誰もが安心して働ける職場環境を整備することは、持続可能な社会の実現するためにも不可欠だといえます。
(2025.08.21)
神戸も暑い!問われる職場の熱中症対策
きのう、丹波市で気温41.2℃を記録。国内の過去最高を更新したとのことです。西脇市でも40℃など各地で軒並み40℃近い気温を記録。神戸では34.4℃だったそうです職場においても熱中症による死亡事例なども増加しており対策は急務です。地球沸騰化といわれる中、毎日のように異常な高温に見舞われ続ける日本の夏は、まさに命の危険との隣り合わせといった感じではないでしょうか。
さて、こうしたことを背景に、今年の6月1日から職場の熱中症対策が義務化されました。
猛暑がつづくなか、従業員さんが健康に、そして安全に働けるよう、会社の「熱中症対策」は万全でしょうか?仮に室内作業が中心だったとしても安心できません。
熱中症は、屋外作業だけでなく、室内や休憩中にも発生する可能性があるので注意が必要です。
〇職場の熱中症対策の義務化のポイント〇
1 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
①「熱中症の自覚症状がある作業者」
②「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」
がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
2 熱中症を生ずるおそれのある作業(※)を行う際に、
①作業からの離脱
②身体の冷却
③必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせること
④事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知すること
※ WBGT(湿球黒球温度)28度又は気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるもの
上記の対応にはもちろん熱中症の症状などについてもみんなで確認しておくことも必要ですね。
厚労省の以下のサイトも確認してみましょう。
https://neccyusho.mhlw.go.jp/
夏はまだまだ続きます。「義務化」で企業の法的責任が問われますが、何より大切なのは、いい仕事をするためには従業員が健康であってこそです。
(2025.07.31)
職場のユーモアと「心理的安全性」
職場でよりよい関係を築き一体感のある職場づくりのために、ユーモアが必要ということが言われるようになってきました。「ユーモアは人々をリラックスさせ,新しいアイデアが生まれやすい遊び心のある雰囲気を人々の間に広めていき,間違いや新しいアイデアを批判するのを抑制するため,創造性を発揮した問題解決行動につながる」と指摘する研究もあります。
ある研究者は指摘します。ユーモアの背景には、この場なら意見をいっても大丈夫と思える「心理的安全性」があるといいます。職場内の環境に対する不安が軽減されると、創造性が発揮され目標達成に近づいていくという結果があるとのこと。その職場内で失敗を揶揄するような言葉が交わされていたら、その職場はよくない状況にあるとも指摘しています。失敗を素直に語ることがコミュニケーションの深耕につながります。
インフォーマルな会話こそ大事。時間や納期に追われなかなか難しい面もあるかもしれませんが、まずはできるところからはじめてみるのはいかがでしょうか。